企業価値を最大化するためのCRE戦略(企業不動産戦略)

固定資産の減価償却を
3段階で理解しよう

2015.10.9

減価償却とは、時の経過や使用により劣化が生じる固定資産を取得した際に、取得費用をその耐用年数に応じて費用計上していく方法の事です。長期にわたって使用される固定資産の取得(設備投資)費用を、耐用年数に応じて按分することであり、企業が不動産を所有する場合の減価償却は、企業経営に大きな影響を与えます。聞いたことはあるけれどよく分からない、そんな人も多い固定資産の減価償却についてわかりやすく解説します。

もくじ

  • [1]STEP1:減価償却って何?
    • ①減価償却とは
    • ②減価償却資産の対象
      1.対象となる資産
      2.対象とならない資産
  • [2]STEP2:実際に計算してみましょう
    • ①耐用年数
    • ②償却率
      1.新築の場合
      2.中古の場合
      ・築年数が法定耐用年数を超えている場合
      ・築年数が法定耐用年数を超えていない場合
    • ③減価償却費の仕訳
      1.直接法
      2.間接法
  • [3]STEP3:定額法と定率法
    • ・償却方法は決まっている?
    • ・減価償却費の計算方法
      ①定額法
      ②定率法
      ③定額法、定率法、どちらがいいの?
      ④定額法一本化への動き
固定資産の減価償却を
3段階で理解しよう

[1]STEP1:減価償却って何?

①減価償却とは

建物などの資産は時の経過によって劣化します。このような資産を「減価償却資産」といい、「減価償却費」として毎年計上できるのです。税金とは収入から経費を差し引いた金額に税率をかけた物と大まかに考えれば、減価償却費を経費として計上すれば納税額の節約にもつながります。
一方、土地などのように時が過ぎても価値の減らない資産は、「非減価償却資産」と見なされ、減価償却は認められません。

不動産の取得金額は、その資産の使用可能期間の全期間にかけて按分して経費(=減価償却費)として毎年計上されます。これが、「法定耐用年数」です。ただし、これは新築の建物の場合であり、中古の場合には簡便法という方法で耐用年数を算出します。

減価償却費を計算する際には、国税庁発表の減価償却率表でそれぞれの耐用年数ごとの減価償却率を調べます。なお、平成19年4月1日に償却率の改正があり、物件の取得時期によって償却率が変わります。例えば、同じ耐用年数20年の建物でも、取得した時期が平成19年4月1日以降では償却率が変わる為、注意が必要です。

②減価償却資産の対象

基本的に、経年劣化するか否かが判断基準となります。

1. 対象となる資産(=減価償却資産)

例)建物、建物に附属する設備

2. 対象とならない資産(=非減価償却資産)

例)土地、土地の上にある権利など
(対象とならない代わりに、地価の変動などに応じて再評価する必要があります。)

(注)10万円未満の資産(=少額減価償却資産)は取得価額全額を損金算入できます。また20万円未満の資産は一括して3年間で按分して償却することが可能です。そして、青色申告の中小企業に限り、30万円未満の資産はその年に全部を経費とできます。取得価額の判定の際、消費税の額を含めるかどうかは納税者の経理方式によります。

※詳細は、こちらのサイトをご参照下さい。
国税庁「収支内訳書(「減価償却費の計算」欄)の書き方

[2]STEP2:実際に計算してみましょう

①耐用年数

耐用年数は国が「法定耐用年数一覧表」として定めています。不動産の場合には、建物の構造や使用目的部分別などにもよりますが、大きく次のように減価償却の耐用年数が決まっています。耐用年数が短い程、一年あたりの減価償却費が増えて利益は減ってしまいますが、その分税金も減ることになります。

  • ・鉄筋コンクリート(RC)造…47年
  • ・重量鉄骨造…34年
  • ・木造…22年

※住宅やマンションなど非事業用の場合、耐用年数は事業用の1.5倍で計算します。

※詳細は、こちらのサイトをご参照下さい。
国税庁「耐用年数表

②償却率(新築の場合、中古の場合)

1. 新築の場合

上記の法定耐用年数ごとに「減価償却率」が決められています。新築の場合には、この減価償却率をそのまま使えばよいのですが、平成19年4月1日に減価償却率の改正が行われ、資産の取引時期によって償却率が変わることにりましたので、ご注意ください。

※詳細は、こちらのサイトをご参照下さい。
国税庁「減価償却資産の償却率表

2. 中古の場合

中古の場合には、その固定資産の使用可能期間を合理的に見積もることが原則ですが、実際には難しいため「簡便法」という方法を使って耐用年数を算出することが認められています。

・築年数が法定耐用年数を超えている場合

この場合は、

「耐用年数=法定耐用年数×0.2」

例えば、鉄筋コンクリート造の建物(法定耐用年数47年)が法定耐用年数を全部経過した場合、
 耐用年数=47年×0.2=9年 ※端数切り捨て

・築年数が法定耐用年数を超えていない場合

この場合は、

 「耐用年数=(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×0.2」

例えば、築年数20年の鉄筋コンクリート造の建物(法定耐用年数47年)の場合、
 耐用年数=(47年-20年)+20年×0.2=31 ※端数切り捨て

上記の計算で算出した耐用年数を元に、減価償却率表で償却率を把握します。

③減価償却費の仕訳

ここからは、計算した減価償却の帳簿上の仕訳について書いていきます。
仕訳方法には直接法と間接法の2種類があります。

1. 直接法

直接法とは、「購入した固定資産の金額を直接減少させる」方法です。

[メリット]

固定資産の価値がBS(貸借対照表)を見てすぐ分かる。

[デメリット]

固定資産の取得原価がすぐには分かりづらい。

例:※建物の場合
(借方)減価償却費 ***/(貸方)建物 ***
ローンで償却資産を購入した際、利息(金利手数料)部分は必要経費として計上します。

2. 間接法

間接法とは、減価償却費を損益計算書の費用に計上するとともに、「減価償却累計額」という勘定科目を使う方法です。

[メリット]

固定資産の取得原価がいくらなのかBSを見てすぐ分かる。また、減価償却累計額(=その固定資産がこれまでに減価償却した金額)も分かる。

[デメリット]

固定資産の価値がBSを見てもすぐには分からない(BSの固定資産額から減価償却累計額を引いて求める)。

例:
(借方)減価償却費 ***/(貸方)減価償却累計額 ***

[3]STEP3:定額法と定率法

・償却方法は決まっている?

原則として、個人事業主は定額法、法人は定率法と償却方法が決まっています。
また、平成10年4月1日以降に取得した建物の減価償却には定額法を使うことになっており、定率法を選ぶことはできません。ただし、「減価償却資産の償却方法の届出書」を確定申告書の提出期限前までに税務署に届け出れば償却方法を変更できます。
ちなみに、建物附属設備や構築物は、定額法か定率法かを選んで良いとしています。
平成23年12月の税制改正により、平成24年4月1日以後に取得した減価償却資産に適用される定率法の償却率が、定額法の償却率を2.5倍した償却率(=250%定率法)から、2倍(=200%定率法)に引き下げられました。なお、償却率を250%から200%に変更した場合でも当初の耐用年数で償却を終えることができる等の経過措置がとられています。

※詳細は、こちらのサイトをご参照下さい。
国税庁「減価償却資産の償却限度額の計算方法
   「減価償却資産の耐用年数等に関する省令の改正について

・減価償却費の計算方法

①定額法

定額法とは、毎年、同額の減価償却費を計上する方法です。

この場合の計算式は、
「取得価格×減価償却率」
となります。

②定率法

定率法とは、毎年、決まった割合で減価償却費を減らしていく方法です。はじめの段階から減価償却費を多めに計上しますが、徐々にその金額が減っていきます。

この場合の計算式は、
「減価償却費=(取得原価−減価償却累計額)×定率法の償却率×使用月数÷12ヶ月」
となります。

なお、税制改正が平成24年に行われ、「200%定率法」が新しく定められました。

平成24年4月1日以降に取得した固定資産は、原則として200%定率法が適用されます。取得した当初の減価償却費の計上を抑える意味があり、経過措置もとられていますが、取得時期によって旧定率法や「250%定率法」が混在している状況で、設備投資の取得時期に注意が必要です。
また、これまでの250%定率法では、耐用年数が近くなると残存価格1円としていましたが、200%定率法では、償却保証額以下になると、定額法にかえることになっています。

③減価償却、「定額法」と「定率法」、どちらがいいの?

法定耐用年数のなかで取得原価を経費として計上していくのは、定率法も定額法も同じ。
違いは「経費化されていく速さ」です。

初期の費用負担が抑えられる定額法は、スタートアップで早く利益を出したい場合や、減価償却資産の多くが建物や無形固定資産である場合、財務管理の簡便さを重要視する場合に向いている手段となっています。

また、定率法では定額法に比べて、初年度の減価償却費が250%~200%上回るので、資産を活用して収益をあげていく新興会社などには、「売上-経費=利益」として経費が少ない定額法の方が、財務上早く利益が出やすいというメリットもあります。

一方、減価償却に定率法を採用すると、早めに費用計上して将来の費用負担を少なくできるので、経営の堅実性を優先する場合や確実に利益が出ている場合は、定率法を用いることが多いようです。

④定額法一本化への動き

政府は平成29年度以降の税制改正として減価償却方法を定額法へ一本化する検討を進めています。
背景には、

  • ・法人税引き下げに伴う代替財源としての課税ベースの拡大
  • ・課税ベース拡大の為に減価償却制度を見直すことが国際的な時流となっている
  • ・原則として定額法が採用されているIFRSとの整合性を図る
  • ・法人間における減価償却の適正な期間配分への是正

などがあります。

この見直しについては平成28年度での改正は見送られ、「中小事業者等における設備投資への影響に留意しつつ、経済の好循環の定着状況等を見極めながら、定額法への一本化について検討を行う」 との言及に留まっていますが、定額法では設備投資直後の税負担が定率法より重くなる為、企業財務に大きな影響を与えることとなりそうです。

なお、建物付属設備・構築物の定額法一本化が平成28年度税制改正大綱において発表されています。平成28年4月1日以後に取得する建物付属設備や構築物については、償却方法が200%定率法か定額法かの選択制が廃止され、定額法に一本化される為、注意が必要です。

※詳細は、こちらのサイトをご参照下さい。
税制調査会「法人税の改革について(案)

TOPICS

不動産売却時の譲渡所得について

本社ビルや工場など建物を売却した際の譲渡所得を計算する際にも減価償却費の計算が出てきます。
譲渡所得の金額は、土地や建物を売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。
取得費とは次の①、②の内大きい金額を使います。

  • ①概算法:譲渡収入金額×5%
  • ②実額法:土地建物の購入代金や購入の仲介手数料、リフォーム費など取得に要した合計から、建物の減価償却費を引いた金額。

譲渡費用とは譲渡のために直接要した費用をいいます。(売買契約時の仲介手数料、名義書換料など)、居住期間中の修繕費などは譲渡費用になりません。
また、長期譲渡所得(所有期間5年以上)と短期譲渡所得(所有期間5年以下)の2つに区分し、税金計算もそれぞれ行います。

国税庁「相続税が取得費に加算される特例
   「平成19年4月1日以後に相続により減価償却資産を取得した場合
   「時価評価した減価償却資産に係る評価後の減価償却の方法

[コラム配信元より]
弊社、株式会社ザイマックスエステートデザインは、首都圏での取扱いオフィス物件数トップクラスの規模を誇る賃貸不動産仲介に加え、不動産コンサルティング、売買不動産仲介などを取り扱っており、これまで二千棟を超える不動産の運営・管理実績を持つ、株式会社ザイマックスを出身母体としています。
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