オフィス移転でコスト削減のはずが、
危うく赤字決算に!?

業種
OA機器販売代理店H社
従業員数
15名
坪数
45坪

背景・課題

コスト削減のためのオフィス移転はできる限り早く済ませたい。しかし、敷金や初月費用に加え、原状回復費用、引越し費用、工事費用と、移転にはかなりの出費があり、損益計算書(以下「P/L」という)に全額計上すれば、売上によっては赤字決算になってしまう可能性も・・・。今回はそんな悩みに関連する事例をご紹介します。

縮小移転を計画するも、赤字決算の可能性に経営陣から延期の声

首都圏を中心に複数の拠点を持つH社では、組織改革にともない、拠点の見直しを行うことに。具体的には、本部機能を1ヶ所に集約、各拠点は営業拠点として再編し縮小移転することで、これまで経費を圧迫し続けてきた賃料負担を抑えたいと考えたのです。ところが、新年度のスタートに向け、今期中を目処に移転を考えていた総務部に対し、経営陣から「それは困る」と待ったの声が。今期はあまり売上が思わしくないため、移転費用をP/Lに計上すると赤字決算になってしまう可能性があるというのが、その理由でした。


コスト最優先で仲介会社から提案されたのは、どれもひどい物件ばかり

画像 結局、経営陣の判断は「今期の決算を赤字にしないよう、移転コストを賃料削減で吸収できるようなビルを探す」ということになりました。移転担当者に任命されたI氏は、前回の移転時にお願いをした仲介会社に相談し、コストを吸収できる賃料の安さを最優先するという条件を伝えました。

すると、仲介会社から提案を受けたのは、古いビルや極端にアクセスが悪いビルなど、会社のイメージを損ないかねない物件ばかり。
「以前から付き合いのある会社だったので安心して任せられると思っていたのですが、フタを開ければ、いずれもこんなところに移転するぐらいなら移転しないほうがマシといった印象のビル・・・やはり移転は延期せざるを得ないのかと半ば諦めかけていました」(I氏)


解決策

P/Lに計上すべき費用について、実は大きな思い違いが

画像そんな折、I氏がオフィス移転のことで悩んでいることを知った知人から、ザイマックスサガーシアの営業マンを紹介されました。すぐにアポイントをとって面談し、いろいろと会話を重ねていく中で、営業マンから意外な一言が・・・。それは、「移転にかかる費用のうち、P/Lに反映される分は意外と少ないはずですよ」というものでした。





正しい会計基準を知ったことで、無事、希望どおりの移転を実現

さらに営業マンは、「移転にかかる費用のうち、資産として貸借対照表(以下「B/S」という)に計上する分はP/Lに計上しないので、P/Lには影響しません。ですから、そこまでビルのグレードを落とさなくてもいけると思います」と続けます。早速、顧問税理士に電話して相談してみると、実は新しいビルの内装や造作、配線工事など多くの部分が資産計上できることがわかったのです。
「専門家の方々からの貴重なアドバイスを受け、すぐに経営陣にも共有したところ、それなら移転できると判断してくれたようです」(I氏)

こうして無事、予定どおりの移転を行うことができたH社。年単位にして実に数千万円のコスト削減が実現する見込みだそうです。


ぎゅっと詰まったサガーシアのノウハウ!
目からウロコ!知っていれば損しない!?会計基準の真実
  1. 原状回復費用は、いくつかの要件を満たした場合は移転が決まった時点で移転費用を見積もり、引当計上しなければならないこともあります!
    「移転は来期だから」と安心していると、思いがけずに修正をしなければならないことがあるので注意が必要です。とはいえ、一般的なオフィスなら、入居工事に比べて原状回復にかかる費用は安いもの。どの程度になるか、まずは一度コスト試算してみることも有効です。

  2. 主に監査法人の監査を受けている企業等は、2010年4月以降、移転に関する費用が分割計上されています!
    IFRS(国際会計基準)の流れを受け、2010年4月以降の事業年度の開始時から資産除去債務に関する費用が分割計上されています。資産除去債務とは、有形固定資産の取得、建設、開発又は通常の使用によって生じ、当該有形固定資産の除去に関して、法令又は契約で要求される法律上の義務及びそれに準ずるものをいいます。これにより、原状回復費用は「将来的に必ず発生する費用」として予め負債として計上するとともに、無形固定資産の帳簿価額に加算し、減価償却を通じて使用期間に渡って費用化することになります。従来のように移転時(移転方針確定時)に原状回復費用を一括計上(引当計上)していた処理に比べ、P/Lへの影響を抑えられます。
    ただし、その金額が会計に与える影響度やその他の状況によって処理は異なる可能性があります。監査法人や専門家に確認しましょう。